【前編】妻が臨月なのに緊張感ゼロだった男の末路

2019/02/24

子育て

出産は一大イベントのハズ

出産というのは、夫婦の一大イベントじゃないですか。
10 ヶ月の間、嫁さんは悶絶して過ごしてるわけですよ。
ゲーゲー吐いたり、重い物持てなかったり、お酒もダメ、タバコもダメ、副流煙を気にして喫煙所避けて歩いたり。
お腹が張ってきて辛かったり、重たくて寝れなかったり、情緒不安定になったり。

夫はそれに寄り添って、嫁さんを助けながら過ごすわけでしょう。

そりゃね、私だってそれなりにはね、助け合ってましたよ。
「夫婦が一致団結してこの難局を乗り切ろう!」
なんてシュプレヒコール挙げる係として日々奮闘してね、うん。

夫婦一致団結して難局を乗り切ろうー!

そうだね

そんなシュプレヒコールを僕は毎日あげてましたよ。時にはお手製の横断幕まで掲げてね。長さ6mもあるので、道路をまたいで掲示できるんだよ、なんて自慢げにいいながら。
ま、その時はたまたま長いポールが無かったので掲示しませんでしたが。

脱線から帰ってこれねぇ。

ちがう、こんな事が書きたくて書き始めたんじゃあない。
僕の陥った苦境を話したかった、誰かに聞いてほしかっただけなんだ。
なのに、なぜこんなことに……。

ポンチな脳みそのせいなんですけども。


10 ヶ月の間、嫁さんが 1 日くたばってる日とかザラにあるわけ。
そんな時にさっと料理してあげればかっこいいけど、まぁ仕事終わりにするのはなかなか無理。なので帰り道で夫婦の晩ごはん買って帰るなんて感じでね、まぁ世の中にありがちな過ごし方をしてたワケよ。

当然文句はないし、むしろ何も出来ずに申し訳ないなとすら思っていたよ。
本来ならもっと色々助けて過ごさないといけないんだろうなぁとかさ。考えるワケじゃん。

だからさ、何ていうか自分の中で「平均的な夫」をやってるという『驕り』があったわけね。
臨月になってもなお
「突然大ピンチになる」
なんて事は考えられずにいたよ。


イベント内容は急展開

嫁さんからの LINE

臨月、予定日まであと 10 日というある日。
いつも通り仕事が終わり、駅に向かっていた私に嫁さんからLINEが。

お風呂入ってたらちょっと破水っぽい現象があったから念の為病院行ってくるねー

えー、大丈夫なのー?

大丈夫大丈夫、たぶん破水じゃないと思うよ~

そうかそうか、用心のために、念の為に病院に行くのね。エラいなー、病院嫌いな俺からしたら立派だわ。

帰りにご飯買って食べておいてねー
私の帰り遅かったら先に寝といていいよー

わかったよー

なんだ、結構余裕がありそうだな。
破水といってもまぁよくある話だし、最悪入院となっても予め嫁さんがまとめてある「入院時持ち出しリスト」があるので困らない。

それに今日もしかしたら帰ってくるかもしれない、みたいな口ぶりだしなぁ。入院もないんじゃないかなー。
しかし帰り道もタクシーだと勿体ないから車で出掛ける心構えだけしとこ。

そんなカンジですっかりなんの心配もしてない夫は、家に帰ってカップ麺をズビズバすすってくつろいでましたよ。

嫁さん以外からの連絡

転機は突然。
22:00頃に携帯に着信が。

○○病院ですけれども

イヤな汗が一瞬で手のひらににじむ。

奥様がもう出産始まりそうなので、今から来ていただけますか
は、はいぃ分かりました!

そんなバカな……。帰ってくるんじゃなかったのか。あの余裕はなんだったんだ。
予定日まだ先なのに、こんな事ってあるんだなぁ……。

そんな事を考えながら出掛ける準備をしてね。
慌てて事故ってはいけない。
深呼吸、深呼吸。

スー、ハー……

スー、ハー………

スー、ハー……………

出産ってさぁ、何時間もかかるんだろー?ってことは今22:00で、朝までかかるんじゃないかなー。
今日は木曜日、こりゃ金曜日の朝までかかるだろう。仕事休まなきゃなぁ。

そこには深呼吸しすぎて、冷静になりすぎる夫の姿が!
実際、深呼吸というのは落ち着くのに効果的ね。この時も深呼吸して落ち着いてからハンドル握ろうと思ってスーハーしてたんだけども。
落ち着いた結果、可能性の高い「一般論」を考え始め「万が一」が抜け落ちる始末。
そうなんだよねぇ、こういう医療とかはさ「普通は」ってのは通用しないんだよね。個人差があるからさ。
なのに「普通はさぁ」なんて考えに至ってしまったのよ。

冷静になりすぎた結果

結果、どういう事をしたか。
車で病院に向かうのに、高速代をケチった。


さぁ、車で嫁さんのいる病院に向かおう!
車のドアをバタムと閉めて。
バアン!でもペヤン!でもなく、バタムと閉めて。
電話で呼ばれてから着替えたり歯を磨いたりして、15分ぐらい経ってしまっていたと思う。まぁその時点で心構えができてない証拠なのだが。
「今日帰ってくるかも、駄目なら入院かも」ぐらいの軽い気持ちでトレーナーに着替えてダラダラしてたんだ、すみません。
まぁ正直向かう時の事は、あまり覚えていないけども。さすがに焦っていたから。


保土ヶ谷バイパスから首都高に乗って、病院最寄りのICで降りるのが最速。
それは知ってる、わかってる。

でもさ。
普通お産って時間かかるっていうじゃん。
しかも男は横で見守るしかできないじゃん。
この時、私の頭の中から「最速で行って、いち早く安心させてあげよう!」なんていうやさしさと情緒にあふれる思いは完全に抜け落ちて、ただ「下道でも高速でも15分ぐらいしか違わないよなぁ〜」なんて事しか考えてなかった。

やがて来る新桜ヶ丘IC、僕は無言で左にハンドルを切った。
青い看板の指し示す「新横浜」の矢印に向かって車を滑らせる。

うーん、ポエティック!このままレーシングラグーンの一節に使えてしまうんじゃないだろうか!
アスファルト、タイヤを切りつけながら暗闇走り抜けていたワケですね、ハイ。

Get Wild
そう頭の中はまさにこの感覚
 
環状2号から国道16号に抜けて、妻の待つ病院へ向かう夫。その顔は妻を思い、憂う心配げな表情が(なお、首都高使ってればもう着いてる)。

そんなこんなで病院に到着。電話から1時間弱だろうか。
夜間の入口が分からず、大きな敷地をキレイに一周してから病院にエントリー!
そこで夫を待ち受けていたものは!?

<次回につづく>

つづき

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