【★5】英ドラマ「ホワイトチャペル」は、日本人なら熱く燃え上がるオトナの少年漫画!【感想】

2015/08/26

★5 映画ドラマ批評


ほし:★★★★★ (5/5)
寸評:
警察のエリートコースを歩んでいる男が、ほんの腰かけで殺人課の課長になるのだが、あれよあれよと巻き込まれて本気で捜査をすることに。
周囲のノンキャリアとの軋轢は凄まじく、また本腰で捜査活動をしていることを上層部から眉を顰められ、それでも負けずに我を通す。捜査にかけては素人同然であるにも関わらず、心血を注いで仕事をし、やがて大きな成果を得る……というベーシックでオーソドックスな設定。
やっぱりこういう「最初は孤独、だけど努力して周りを黙らせる」系のストーリーは良い。スカっとする。
また本筋のストーリー展開もテンポが良く、ひとつのストーリーが三話構成なのもテンポの良さに拍車をかけている。
今まで観た刑事モノの中でも出色の出来。
シャーロックシーズン3がアレだった関係で、私の観た中で最も面白い英ドラマはこのホワイトチャペルだと言い切れる。




寸評でも背景設定は簡単に書いたが、再度あらすじを。

警察のエリートコースを歩んでいる男、チャンドラー。ほんの腰かけで殺人課の課長になる。
半年も経てば栄転していく……ハズだったが、おり悪く連続殺人事件が発生。
チャンドラーは新任課長として現場に顔を出すも、ノンキャリア組の刑事たちからは小馬鹿にされ、嘲り・罵りの態度を取られる。
上層部からは「キャリアに傷がつくから首を突っ込まず現場に任せておけ。いざとなったら刑事部長に責任をとらせろ」と有り難いアドバイスをいただくも、現場の刑事達への怒りや見返してやろうとする気持ち、誰も気にしない被害者たちへの憐憫などから深く首を突っ込むことを選択してしまう。
しかしそもそも現場の刑事達は「ただの腰かけで来たキャリア組の課長」に対する尊敬の念などはゼロ。煙たがられる日々が続く。
そんな中、めげそうになる気持ちを奮い立たせて様々な捜査活動を行う。
やがてチャンドラーは「犯人は切り裂きジャックの模倣を行っている」という説を強く信じることとなる。しかしながら周囲からは鼻で笑われる。「そうやって無理やり過去と紐づけて、勝手にモンスターを作り上げる奴らを何度も何度も見てきた。現実はただの殺人犯だ」と刑事達は考え、同調してくれる者はいない。
しかしそこは課長なワケで、権限はある。ジャックの模倣犯の線で大規模な張り込みをかける。
刑事達はほくそ笑む。「これで空振りなら上層部に全部報告して、あいつにはどこかに消えてもらおう」と。

しかして張り込みをかけていた地域で同一犯のものと思われる殺人事件が発生する。
犯人を逮捕することはできなかったが刑事達はチャンドラーの読みが正しかったことを知り、また己の立場や出世を自らの信ずる道に賭けるその姿勢に敬服する。
就任以来投げかけられていた侮蔑の視線は消え、徐々に信頼関係を築き上げながら犯人に迫ることになる。

そう、このカンジよね。
なんか少年漫画のようでもあるけど。努力・友情・勝利ですよ、えぇ。
その集英社的カタルシスを、大人の世界でやるとこのホワイトチャペルになるカンジ。

もはやあらすじで語りたい内容は全部書いてしまったような気がする。このスッキリ感。
チャンドラーのキャラクターが、まぁ結構小心者で強迫性心理障害だとかそういう描写もちりばめられるんだけども。
やっぱその「弱い主人公」っていう描写がいいんだよね。視聴者に親近感を与えてくれるというかさ。共感・シンパシーを得て、そのうえで主人公が活躍する。もう観ている方は自分が事件解決したかのような喜びを感じられる。
また最初は極めて仲が悪い刑事部長のマイルズとの関係もね、一度認めさせてからの絶対無二の信頼関係に至るまでの流れね。
これも、視聴者側が自分に置き換えて追体験できる。誰しも(マイルズほど極端ではなくても)実生活において「この人とはやりづらいなぁ。この人が変わってくれればいいのになぁ」なんて思うことはあるはずで、それを主人公の活躍により変えてしまえるということが観ている方としてとってもハッピー。

まぁそんな感じで、チャンドラーの置かれた苦しい立場と、そこから強い意志で立ち上がる姿、また周囲との人間関係の改善という現実味のある見どころがとても魅力的。さらにそこに殺人事件が絡んでくるっていうんだから面白くないワケがない。
その事件も「有名犯罪の模倣」というテーマがあって、これが結構他の刑事ドラマとは一線を画す。
「ドラマ」として大きな部分がヒューマンドラマなカンジになっていて、そこに彩りを添えるオリジナリティのある事件展開。そんな割合。CRIMINAL MINDS と比率が逆なカンジ。

シーズン 4 は全 6 話構成らしいので今までの倍楽しめる。うーん待ち遠しいぜ!

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