長かったこのグチはきシリーズも今回でついに最終回。
最終的には、私が退職するって結論なんだけども。自社の取締役相手に改善活動を要求して、それが通らなかったんだよね。
今回はその「退職に至ることになった自社とのやり取り」についてをグチっていこうと思う。
正直に言って、俺はちゃんと会社に貢献したいと心から思っていた。けれどもこんなリアクションされたら、まぁだいたいの人が会社辞めるでしょって話。
本当に未だに信じられないわ。無理なお願いしているわけじゃないのに、それをやらないでまともな技術者失う事に繋がってるんだもん。会社の上層部としてバカとしか言いようがない。
この話は以下のエントリの続きモノになってます。お時間が許すのならば、最初から読んでいただいた方がより楽しめるかと思います。
取締役にプレゼン
このシリーズで長く語っている事を簡単に振り返りますけども。とある Web サービスを開発している会社がありまして、そこに僕の会社が SES で開発人員を派遣しているという状況なんですわ。
で、その開発会社がとんでもないクソ(ド素人レベル)で、さらにそこに派遣されている僕の会社の開発人員もとんでもないクソ(技術力もないし、人としての常識が欠如)だったと。
で、結局プロジェクトがポシャったと。
開発会社がクソなのは確かだけど、僕の会社の人員がまともだったらプロジェクトはポシャらなかった。これは間違いない。
私が営業会社で業務していた限り、開発がマトモだったらビジネスはうまくいった。客はかなり取れていたからね。
で、どうやればマトモに開発できるかも、少なくとも俺らには見えていた。どうしたらうまくいくかも直接開発人員にアドバイスもしていた。
でも、彼らはできなかった。
プロジェクトがポシャることによって、僕の会社にとってはビジネスチャンスを失った形になるんで、つまり損失なんだよね。
その損失は、開発人員のレベルが低いせいで回避できなかった。開発人員のレベルアップを図らない限り、同じことの繰り返しになる可能性は存分にあるよね。
だから、そこを取締役 2 人相手にプレゼンしたんだよ。
実際に使った資料
どんなプレゼンしたのかを、なんとなく理解してもらうために実際に使った資料の一部を紹介。まぁぶっちゃけプレゼンなんて慣れてないので資料作るのはヘタクソだったけども、以下のポイントだけ気を付けた。
- 今どういう問題があるのか
- どうしたらいいのか
- それをしないとどうなるのか
実際の資料が以下。
表紙 |
今何が問題で、どうしてほしいか、しないとどうなるかをザックリと |
リーダーに必要なチカラを 6 要素 |
今回のプロジェクトでどうだったか |
各項目についてビッシリと説明 |
同様に、先ほど挙げた 6 項目についてビッシリと「何がダメだったか」を事細かに説明したが、それは長いので省略。そして最後に、何の目的でこういうお願いをしているかをまとめる。
まとめで「改善し続ける事」を特に強くアピール |
6 項目について、ビッシリと挙げた問題点は、しかし一朝一夕にすぐ直せるものばかりじゃないよね。
たとえば「技術力が足りない」って言ったって、じゃすぐ技術力を社員につけさせるなんてできないじゃん?
だから、私は以下のように主張したの。
・すぐに直せるものについてはすぐに改善活動をしてほしい
・すぐに改善できないものは、長期的な改善活動プランを示してほしい
すぐに改善できないからといって何もしないんじゃ、組織、システムとしてサポートやフォローしないって事じゃん。そしたらいつまでも改善しないし、いつまでもプロジェクトを潰してビジネスチャンスを失う事になるよね。
自分の所属する会社に、そうはなってほしくないから提案したんだよね。
それがまとめのページに書いた「改善し続ける組織に」なって欲しい、そう感じさせて欲しいってことなの。
取締役は問題点を把握している、という
まず、私の挙げた問題点はすべて取締役も分かっていると。ん、分かってるならなぜ改善できないの? って気になって少し問答。
たとえば「水面下でやり取り進めて、手戻りが無いようにしよう」って決めたのね。それを私は一生懸命やったんだけど、全部開発が無視してできなかったの。それについて私は半年前からぶーぶー怒ってるんだけど。
俺「なんでこれが改善されないのですか?」
取「改善したかったんだが、顧客から『余計な事をするな』とキツく言われていて、改善をあきらめた」
俺「ということは、意図的に改善しなかったってことですか?」
取「そうだよ」
俺「だったら私がめちゃくちゃ怒ってたの知ってたんですから、その時に言ってくださいよ。プロジェクトが潰れるかもしれないって私は真剣に仕事してたのに、それ知ってれば真面目にやる必要なかったじゃないですか」
取「それは悪かったね」
うーん、今まで問題点について何度も取締役と会話してきたけど、ここで分かったことは「その場しのぎ」されてるってことだね。
なんか適当言いやがって、って感じ。
この時点でため息出まくり。もうため息やめとこうなんて気にもなれない。
いつ改善活動をするのか
まぁ、テキトー言ってるのは分かってるが、ともかく取締役は「問題点は分かっている」と言ったのね。「問題点を分かっていただいているならば、ここに書いたような改善活動をし始めていただきたいです」って話題を変えてみたの。
俺にとってはそっちが主題だからね。すでにポシャったプロジェクトについて改善したいわけじゃないから。
特にすぐ改善できるようなことは、すぐにやって欲しいんですよ、ってね。だってそしたらちゃんと改善活動しているかどうか、俺に対するアピールになるじゃん。つまり俺の気持ちをつなぎとめることができるじゃん。
たとえば、今まで俺が怒りまくっていた「人をバカにする回答」については厳に慎み、受け取り手の気持ちになった回答をできるように指導してくださいと。
これは、気の持ちようで直せるし、それが無理でも例えばしばらくは必ず取締役が一旦文面をチェックするなどして少なくとも「バカにする回答をアウトプットしない」という対策はできるじゃん。
それに対して、なんか取締役はムニャムニャ言ってるんだよねぇ。
取「今はプロジェクトがポシャって落ち込んでるタイミングだから、ちょっとこちらでタイミングを見計らってやるよ」
俺「いやいやいや、それはあり得ないでしょ。さっき『改善するのを諦めた』っておっしゃいましたよね。ってことは、つまり『プロジェクトがポシャっても仕方ない』って、自社内で相談して決めたってことですよね? だったらポシャったからって落ち込む必要ないじゃないですか。あらかじめポシャっても仕方ないって決めたんでしょう? 彼らは落ち込む必要ないし、そもそも落ち込む権利なんか無いですよ」
これは我ながら強烈。
「落ち込む権利なんか無い」って言うのがかなりキツかったらしく、もう適当にかわす事もできなくなってしまったみたい。
取「とにかく改善活動はするから。いつするかはこちらが見計らうから」
私「そうですか、分かりました。彼らのビジネスマナーに関する改善はすぐにできるでしょうから、なるべく早く実施の方お願いします。期日を切ったりしませんけど、よろしくお願いします」
ここまで強烈に言っておけば、さすがに何かするだろうと思って私はすでにポシャったプロジェクトの業務へと戻った。
しかし何も改善されない
そして 3 日程度の時間が経った。そして事件が起きる。クソ社員からまたクソ回答が来る
開発側から、また人をクソほどバカにしたクソ回答がやってきた(前回の#7で紹介したモノ)。それに対して怒りの指摘をブン投げたあと、しかし自分が興奮状態になってしまっているだけかもしれないと思い、 1 日クールダウン期間を設けた。家に帰り、翌日出社し、もう一度開発からの回答を読み返す。
やっぱりはらわたが煮えくり返った。やっぱりこの回答するのは頭がオカシイ。
さっそく取締役に電話。
俺「まったく何も改善されていないじゃないですか!」
取「いや、だからタイミングはこっちで見計らうから……」
俺「タイミングなんて今しかないんですよ! 先日言ったとおり、彼らは落ち込む権利なんてないし、このままだと俺はまた 2 日後とか 3 日後にクソ回答を読むハメになります。そんなのいい加減我慢できませんよ。そんなの続けさせるんだったら、私もうこの会社のために働けませんよ」
もうこれ改善されないんだったら、本当に会社辞めようと思って、半分脅し半分本気でそう伝えた。
そうすると、向こうの反応は早かった。
こんな時だけ迅速な対応
俺が取締役に「改善されないなら辞める(要約)」と伝えたところ、翌日取締役が 2 名現場にやってきた。取「電話口で言ってた事って、あれ本気?」
俺「まぁ改善されないなら、そうなりますね」
取「すぐに改善することはできないから、君の要望は叶えられないよ」
俺「そうですか、それは残念です。改善活動をしない事の方が私よりも重要ってことなら仕方ないですね、退職します」
すこぶるスムーズに話は進む。
ふーん、そうか改善活動するぐらいだったら口うるさい社員には辞めてもらった方がいいと、そういうマインドなのか。
そんなマインドの会社じゃ、辞めた方がいいわ……って、 2 回目の辞意を自分の中で固めてしまった。
ありえない対応
翌日、開発内の土管くん(#5 参照)にメールで辞めることを伝達すると、ありえない回答をもらった。「あ、存じております。取締役からお話を伺いました」
ありえねぇ!
なぜ俺の人事情報を、開発の現場に伝える必要があるんだ? しかも俺が辞める原因になった A さん一派にだぞ?
即、取締役に電話。
俺「なぜ俺が辞めることが伝わってるんですか? ありえないでしょう」
取「現場の責任者だから A さんには伝えたよ」
俺「なぜ伝える必要がありました? だってプロジェクトはポシャって、そもそも 3 月末で私この現場終わりですよ。で、私の退職はその後ですよ。それでなぜ伝える必要があるんですか?」
取「たとえば、現場を退場になった後にキミに業務上どうしても確認したい事があったとするでしょ。でもその時に、まだ社員で残ってるのともう社員じゃないのとじゃリスクが違う。だから今のうちに必要な情報を全部とるために伝えた」
俺「そんなの理由になってませんよ。もともと現場退場になるなら、必要な情報は全部取るものでしょ。それを『退職する』って情報を付加することで、 A さん側の情報取る精度が高まるんですか?」
取「高まるんじゃない」
俺「高まるワケないでしょ! もともとそういう仕事のレベルが低いって散々言ってるのに、人が退職するからってレベルが上がるわけがない!」
取「でも可能性がゼロじゃないじゃん」
俺「ゼロじゃないですよ。でもそんな限りなくゼロに近い可能性のために、人事情報っていうナイーブな情報を漏らすなんて有りえないでしょう」
まぁそんな問答を 20 分ぐらいして。ようやく取締役も分が悪いことを自覚したのか、それともただ面倒になったのか。
取「もう伝えちゃったことはどうにもならないから、じゃどうして欲しいの?」
なんだその言い草は。まったくコイツどうかしてんな、って思いながらも要求を伝える。
俺「今後、私以外でも退職するって情報を必要以上に伝えるのをやめてください」
取「わかった、今後は必ず本人に確認を取るようにするよ」
俺「はい、わかりました。お願いします。それと、今回私は非常に嫌な思いをしたんですが、それについて何か一言ありませんか?」
これには取締役もちょっと笑ってた。俺も半笑いで言ってたんだけど。
でも俺には笑う権利あっても、おめぇにはねぇからなボケがとは思ったが。
取「事前に相談もなく伝えてしまって、申し訳なかった」
俺「申し訳ないって気持ちがおありになるなら安心しました」
最後は取締役を煽り倒して、少し胸がスッとしたわ。
技術者の心を滅入らせる組織
シリーズ全体を通して、まとめ。とにかく、技術のある技術者の考えを重要視すること。これが必要不可欠。そして私が今まで業務してきたマトモな製造業では、多かれ少なかれ技術者の声は上層部まで届いていた。
しかしそれを行わない今回の顧客と、俺の元いた会社。しかも俺のように粘りづよく改善提案を繰り返したとしても、それをあえて実施しないように力を込めて、現状維持しようとする。
こんな会社では、技術者はあまりの将来展望の暗さに絶望して辞めていってしまうだろう。
世の中の技術者は、俺のように改善提案を繰り返したりしない。どうしても我慢できない部分があれば、さっさと辞めてしまう。
技術者の声を聞くのは、重要だ。
聞きすぎてはいけない。無視してもいけない。
「もし技術者の声を完全にシカトする現場がこの世にあるならば?」というモシモシリーズかのような現場を、俺は体験した。
この体験を読んでいただいて、笑ってもらえるなら嬉しい。
この体験を教訓にできる立場の人には、ぜひとも教訓にして欲しい。そうすれば、もっともっと嬉しい。
はぁ、有給消化って最高。でもコロナ騒ぎでどこにも行けないのは、ちょっともったいなかったな。
↓私の一番好きな「ソフトウェア設計とは何か?」を考えるための入門書。
実に分かりやすくタメになる。今でもうちの本棚に置いてある。
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